解説>Being第3話

士官学校サイマス
…T細胞が通過する胸腺(Thymus)という臓器です。
T細胞の名前の「T」は、この臓器に由来します。

※T細胞と呼ばれる細胞のすべてが胸腺由来という意味ではありません。
T細胞の名前の由来が胸腺にあるだけで、
名前にTがつく細胞たちは「T細胞共通の特徴を持つ」という意味にとらえてください。

串刺しの不死鳥
…制御官のエンブレムです。TとRの二文字を元にデザインしています。
『防衛ラインは不死鳥のごとく永遠たれ、そして制御官はこれを制御せよ』

両翼携えし杖
…ヘルパーT細胞(指揮官)の紋章です。TとHの二文字を元にデザインしています。
両翼はサイトカイン(作中は鳥のような形で描写)を示しています。

指揮官
…ヘルパーT細胞です。
他の免疫細胞に対し、抗体産生を促したり攻撃物質を増やす手助けをしたりするので、「補助役(ヘルパー)」としてこの名前がつけられていますが、NHKスペシャル「人体」他様々な書籍で「司令塔」と表現するものが多いため、指揮官としました。

※ヘルパーT細胞には、Th1、Th2、Th17の3種類があります。
作中では「指揮官第1種」「指揮官第2種」「指揮官第17種」としています。地味に襟元に番号のバッジが付いてますが、たまに描き忘れます……。
ハインツ・テーザー
…指揮官第二種(Th2)です。
首席卒業で、少し偉そうな性格にしたのは、現代人の体でTh2がTh1よりも優勢なことが多いことを表現しています。

約5%の不適格者
…未熟なT細胞は、骨髄から胸腺まで流れ着き、胸腺の中を通過してから免疫の司令塔となります。
胸腺の中では選択試験が行われ、合格率は3%以下とも言われています。
しかし、どんな試験でも完璧なものはなく、
この厳しい試験を通過したT細胞も「たまたま運よく合格した」細胞が約5%含まれているとのことです。

第一防衛
…自然免疫のことです。まっさきに応答することから、作中では第一防衛部隊としました。

第二防衛
…獲得免疫のことです。敵の侵入に対し、まず第一防衛部隊(自然免疫)が出撃し、その次に第二防衛部隊(獲得免疫)が出撃するのが基本形態です。

 ※フィクション設定について※
ミスを犯した制御官や指揮官を、物語では制御官が討つような展開になっていますが、実際は「制御性T細胞がサイトカインや直接接触で攻撃を抑制する(不活化させる)」程度であり、討つことはありません。

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