解説>Being第15話

作中に登場する「士官学校サイマス」は、
胸腺(きょうせん/Thymus)という臓器です。

胸腺は、免疫軍の士官クラスを教育する臓器として紹介されたりもしますが、ザックリいえば「危険因子を選別して処分する機関」です。

既刊「擬人化で親しむ基礎免疫学」から抜粋引用↓↓

物語の都合上、主役のレインが卒業後に訪れていますが、
実際は「胸腺を卒業したT細胞が再び胸腺を訪れる」ことはない。

上の漫画にも描いてありますが、
選別試験に不合格となった細胞は細胞死に導かれます。
それらを処理するため、胸腺にはマクロファージが集まってきています。
在学中にそれを知ったレインにとっては裏門はトラウマ…

胸腺の最盛期は短く、
早くも5,6歳から委縮し始めると言われています。
(参考:NHKスペシャル「人体」等)

しかし、胸腺が衰退したからと言って、
すぐに免疫がダメになってしまうわけではありません。

イメージとして、
車の教習所が平成27年12月をもって終了したとします。
しばらくは路上に、ちゃんと教習を受けたドライバーもいて、
しかし教習を受けてないドライバーが今後チラホラ出てきちゃうよ!な状況です。

年をとるとリウマチが…というのを聞いたことはありますかね、
あれをザックリいえば、
「胸腺の機能が低下したために味方を攻撃する指揮官等を排除しきれず、自身に攻撃がなされた」状態です。

主役のレインはまだ気づいていませんが、
読者は気づいて……もらえてますかね。
クラインはサイマス出身の特殊前線指揮官……
胸腺由来のNKT細胞です。彼もまた母校の様子を見に来たという場面。

クラインが特警(NK)のフリをしたがるのは、
NKT細胞が発見されたのが、わりと最近(…1986年ですけど)だから、というだけの設定です。

作中の「特警」と「特司」だけがこのエンブレムをつけています。短期強化蘇生機能と言うのは創作上の設定で、フィクションです。
NK細胞が「ストレスに弱い」と言われることから
常に救援信号に晒されているという設定もあります(第二話解説参照)

更新が遅すぎたために、説明が省略できちゃう事態が起きましたね……
「STAP細胞の現象」として説明された輝きは「細胞が死ぬ時に発する光」だった、といった話をニュース等で皆様見聞きしたと思われますが、それです。

最終ページで、レインが手にしているのは、
サイマスの首席卒業者に下賜される銀時計です。
淡白な性格に設定していますが、一応の思い入れはあるだろうな…という場面。

刻印の文字は、私のドイツ語学習がサッパリ進んでいないので、
フォロワーさんに教えてもらいました。ありがとうございます…!

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